根本的にダイエットを妨げる原因とは、正しいダイエットを行っても身体に備わる「仕組・摂理・機能異常」などの要因によって痩せない結果を導くものです。この根本的に痩せない原因には「身体の保護機能・代謝に関する年齢と体質・代謝を狂わせる疾患」の3つがあり、この条件の内どれか一つでも該当していたり持ち合わせていると正しいダイエットを行っても「脂肪分解→脂肪燃焼」という正しい脂質代謝のサイクルが起き難いので痩せ難いのです。
この記事ではダイエットの注意事項として痩せない根本的な原因「身体の仕組み・代謝と体質・痩せ難い疾患」について皆様にシェアさせて頂きます。
目次
1.身体に備わる防御反応
人には身体の内部環境をコントロールする「自律神経系・内分泌系・免疫系」の3つのバランスを常に保ち健康を維持するという機能が備わっています。この健康の根幹を支えている機能を「恒常性の維持(ホメオスタシス)」と呼びます。
ホメオスタシスとは
健康の根幹を支えている「自律神経・内分泌・免疫」という恒常性を維持する機能です。健康を維持する仕組みである一方、防御システムとして危機的環境下にさらされた時に生命を維持するために積極的に働きます。
例えば人が遭難して食べ物を食べなくても1週間程度生き延びる事ができるのはホメオスタシスが「身体が冷えれば体温を上げ、エネルギーが足りなければ消費を抑える」など生命維持のために働くからなのです。
つまりホメオスタシスとは体内の健康状態を常に一定に保ち、急激な状況変化が起きても身体を守る為に働くセーフティー機能なのです。
しかし人の身体に備わっているホメオスタシスという素晴らしい機能は、ダイエットにおいては複数の障壁となるのです。
2.ダイエットとホメオスタシス
ダイエットを始めてもなかなか痩せなかったり、最初は順調に痩せていたのに途中から痩せなくなる原因の多くにホメオスタシスが関与しています。最初から痩せない場合には身体にダイエットが記憶されている可能性があり、途中から痩せない場合にはダイエットの食事制限により危機的状況化と判断されている可能性が高いのです。
身体にあるダイエットの記憶
正しく痩せられるダイエットには「糖質制限orカロリー制限」のどちらかの食事制限が組み込まれており脂肪の分解を促し燃焼をサポートし痩せるという仕組みになっています。
しかし過去にダイエットを経験している場合、身体には過去に起きた「栄養上の危機的状況」としてダイエットが記憶されているのです。
つまりカロリー制限ダイエットを過去に行った場合には「極度の栄養不足」と記憶され、糖質制限ダイエットを行った場合には「極度の糖質不足」と記憶されます。
そしてもう一度同じ食事制限を行った場合に過去に起きた体内事例を元に防御機能であるホメオスタシスがいち早く反応するので痩せ難いという状態が起こるのです。
だからダイエットは何度も繰り返すごとに成功が難しくなり、可能であれば一度だけのダイエットで終わらせたいと言われているのです。
ダイエットによる危機の察知
ダイエットを行っていて最初は順調に痩せますが途中から痩せなくなる状態を停滞期と言います。
ダイエットでは食事制限を行うことで食事から不足する栄養分を補う為に脂肪を分解し燃焼します。
身体も最初は足りない栄養素を補う為、脂肪を使うように働きますが、その状況が続くにつれ徐々に身体に備わるホメオスタシスが「栄養環境が悪化している危機的状況だ」とダイエットを判断します。
そうなると最初は順調に脂肪を燃やし痩せていたのに、ホメオスタシスが介入してからは危機的状況を乗り切るためにエネルギーの消費量を最小限に抑えようと働くのでダイエットを継続しても痩せないという状態になってしまいます。これが停滞期に陥る仕組みなのです。
停滞期の解決方法が知りたい方は下の記事をご参照下さい。
3.体質による代謝の影響
人は本来糖も脂質も代謝(分解消費)できますが、先天的にどちらかの代謝が苦手だったり、日頃の生活習慣によってどちらも苦手という体質の方もいます。糖や脂質の代謝が苦手だということはダイエットにおいて必ず必要となる脂肪分解の為の食事制限にハンデがあるということです。
脂質代謝が苦手な体質
先天的(遺伝的)に脂質代謝が苦手な体質の場合、脂質の「分解・燃焼」によってエネルギー(ATP)生産が得意ではないので脂質を食べる事によって脂肪を蓄えてしまいます。
このタイプがダイエットを行う時に気を付けなければならない事は脂質の摂取です。
脂質は身体に必要な必須栄養素ですが、多くとりすぎると「燃やせない・溜め込みやすい」体質なので、体質と合わず苦手とする食事制限は高たんぱく高脂質になりやすい糖質制限です。
逆に言うと脂質のトータル摂取量が抑えられるカロリー制限と相性が良いということなのです。
糖代謝が苦手な体質
先天的(遺伝的)に糖代謝が苦手な体質の場合、糖質の「分解→燃焼」によってエネルギー(ATP)生産が得意ではないので糖質を食べる事でより脂肪を蓄えてしまいます。
糖代謝が苦手な方は逆に脂質代謝が得意な方が多いので糖質を断つ糖質制限との相性が良いと言えます。つまり糖質制限を行う事で代謝が苦手な糖が身体に入って来ないので
減量中は水を得た魚にように高効率ということです。
しかしカロリー制限では食事量が減りますが食べ物に制約がないので代謝を苦手とする糖質を食べてしまう可能性が高いので上手く減量できない可能性があります。
「糖質・脂質」共に代謝が苦手な体質
糖代謝・脂質代謝がどちらも苦手な体質の方がまれにおられます。
この場合、糖と脂質のどちらかの代謝が先天的に苦手で、その後の食生活の影響によって徐々にどちらの代謝も苦手な体質となり「太りやすく痩せにくい」体質となってしまいます。
この体質の場合ダイエットで痩せるのは難しく結果が出にくいのですが、痩せるのが不可能という訳ではありません。
糖や脂質の代謝が苦手な体質にマッチする食事制限は食事を減らすタイプのカロリー制限ダイエットです。これは極論「食べなければ痩せる」という体の摂理を生かすしか方法がありません。
ご自身の代謝に対する体質が知りたい方は下の記事をご参照下さい。
4.気持ちと体質の不一致
ダイエットの食事制限(糖質制限orカロリー制限)と体質によるマッチングがあるように、個人の気持ちによる食事制限の好き嫌いも存在します。体質に合う方法(食事制限)が解っていても、好みの問題で体質に合わない方法(食事制限)を選んでしまうと著しく減量効率が下がり根本的に痩せない可能性があります。
どうしても糖質制限が苦手
- あなたの感情
どうしても甘い物が辞められない、どうしてもお米や麺などの炭水化物が辞められないので糖質制限ができないという人。 - あなたの体質
身体は糖代謝が苦手な場合、脂質代謝が得意なのでダイエットを行う上では糖の総摂取量が減る糖質制限ダイエットが向いているという体質。 - 不一致が起こる場合
「気持ちは甘い物が食べたい・体質は糖質制限に向いている」という場合、多くの人が感情を優先してカロリー制限ダイエットを選択します。
この場合、感情を優先してカロリー制限ダイエットを行うと食事から糖が入ってくるので体質的に減量効率は下がってしまうのです。
どうしてもカロリー制限が苦手
- あなたの感情
どうでしても食事を減らすのは嫌で、3食しっかりと食事がしたいという理由でカロリー制限ができないという人。 - あなたの体質
身体が脂質代謝が苦手な場合は糖代謝が得意なことが多くダイエットを行う上では脂質の総摂取量が減るカロリー制限が向いているという体質。 - 不一致が起こる場合
「気持ちは3食しっかりと食事がしたい・体質はカロリー制限が向いている」という場合、多くの人が感情を優先して糖質制限ダイエットを選択します。しかしこの場合は、感情を優先して糖質制限ダイエットを行うと食事から脂質が多く入ってくるので体質的に減量効果は下がり痩せ難いという事態に繋がります。
減量時の食事制限の選択方法
- 効率重視
ダイエットでの減量効率を最優先する場合は身体が代謝を得意とする栄養素に当てはまる食事制限を選ぶことがベストです。
身体の効率と気持ちの選択がリンクすると効率が良いダイエットを継続できるので減量効果が非常に高くなります。
まれにダイエット1週間で5キロ減など驚異的な減量効果を体感される方がいるのは身体の特性と気持ちの選択がリンクしているからなのです。 - 継続重視
ダイエットでの継続性を最優先する場合は「自分ができる」という感情を優先した食事制限を選ぶことになります。
ダイエットを行う上で継続性は紛れもない成功条件の一つなので感情優先の選択は悪くはありません。
しかしもし感情優先で選択した食事制限と体質が得意とする食事制限がリンクしていない場合、減量効率は下がり継続している期間の割には減量効果が低くなる可能性が高いのです。
つまり体質には得意とする食事制限があるにも関わらず、人は感情で食事制限を選択するということです。
食事制限を行う時に体質と感情の双方が一致すれば減量効果が高まりますが、体質と感情が一致せず体質に合わない食事制限を行うと痩せ難いのです。
人は感情の生き物なので合理的な方法が解っていても感情を優先する傾向があるので「体質と感情」がずれている場合ダイエットは失敗する可能性が高いのです。
5.加齢による代謝の低下
代謝を大きく下げてしまう原因は加齢であり、加齢に伴う大きな代謝低下要因に「筋肉量の低下・活性酸素の増加・ホルモン分泌の低下」があります。代謝に関わる各要因は老化とも呼べ避けられない要因ですが、ポイントを知り得ることで対策も可能となります。
筋肉量の低下
加齢に伴う代謝の低下要因の一つに筋肉量の低下があります。筋肉量は30代から減り初め50代~60代で大きく低下します。
筋肉での代謝量は基礎代謝全体中の22%と大きな割合を占めていますので、加齢に伴う筋肉量の低下は大きな代謝低下要因となります。
活性酸素の増加
代謝を低下させる要因として活性酸素は見過ごせない存在です。活性酸素が身体に蓄積すると脂肪や糖を燃やしてくれるミトコンドリアの活性が低下してしまいます。
活性酸素が加齢と共に増加する仕組みは、活性酸素を除去する活性酸素除去酵素(SOD)の生産量が低下することで活性酸素が蓄積されます。
活性酸素の蓄積は体内で活動できるミトコンドリア数が減少することを意味します。
活発なミトコンドリア数が減るということは脂肪や糖を燃焼する場所が減ってしまうことになるので、代謝も低下してしまいます。
ホルモン分泌の低下
代謝に深く関わるホルモンの代表格が性ホルモン「男性ホルモン(テストステロン)・女性ホルモン(エストロゲン)」と成長ホルモンです。
どちらのホルモンにも脂肪燃焼を促進する働きがあり代謝に大きく貢献していますが、加齢により分泌量が低下する事で代謝を下げてしまう原因となってしまうのです。
性ホルモン
女性ホルモン(エストロゲン)・男性ホルモン(テストステロン)には、それぞれに雌雄の体型を維持し司る働きがあります。
その働きの一環に脂肪の燃焼を促す働きがあるのですがどちらのホルモンも加齢に伴い減少することで体型維持が難しくなってきます。
その結果、年老いていくと雌雄の体格差は無くなり男性女性共に似たような太り方になってしまうのです。
成長ホルモン
成長ホルモンは子供の成長を促すホルモンですが、大人になっても分泌は継続されます。その理由は日々の食事から得られる摂り過ぎたエネルギー源(脂質・糖質)の燃焼を促し肥満を防止するために成長ホルモンは働きます。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されますが加齢に伴い「睡眠時間の減少・質の低下」することで成長ホルモンの分泌も低下し代謝が低下してしまいます。
「加齢と代謝の関係」について詳しく知りたい方は下の記事をご参照下さい。
6.痩せない疾患
何をやっても痩せない原因の一つに病(疾患)の存在があります。特に健康の根幹であるホメオスタシス(恒常性の維持)に属する「自律神経系・内分泌系・免疫系」に関与する疾患をお持ちの場合は身体のバランスが崩れてしまっているので正確なダイエットを行っても正常に身体が反応(代謝)してくれない場合があります。身体の原因による肥満を二次性肥満と言います。
自律神経系に影響が出て太る病
自律神経系に支障をきたす病は「自律神経失調症・うつ病・統合失調症」などの精神疾患です。
病の主な原因は日常生活に潜む「ストレス」で、発散が苦手で蓄積させてしまう人が病に発展しやすい傾向があります。
精神疾患を患うと痩せ難く太りやすい理由がストレスによって自律神経の働きに支障をきたしその配下に位置するホルモン分泌を行う内分泌機関に正常な指令が届かず正しいホルモン分泌が行えないので代謝が下がり太りやすく痩せ難い状態となってしまうのです。
内分泌系異常によって太る病
内分泌に不具合が出て太ってしまうことを内分泌肥満と呼び、代表的な疾患に「甲状腺機能低下症・成長ホルモン分泌不全症・クッシング症候群」などがあります。
内分泌は代謝に必要なホルモンを分泌する機関なので、内分泌に異常が出てしまうと正しいホルモン分泌が出来なくなってしまい正しい代謝反応が起きなくなってしまいます。
つまり内分泌疾患を患うと代謝が下がる可能性が高く太りやすく痩せ難い体質になってしまう可能性が高いのです。
免疫系異常によって太る病
自己免疫疾患という免疫機能が亢進し過剰に体内組織を攻撃することで肥満を誘発してしまう病に「橋本病・バセドウ病」があります。
橋本病は自ら甲状腺を攻撃し続けてしまい最終的に甲状腺機能低下症を引き起こすことで代謝を下げてしまいます。
バセドウ病は逆に甲状腺機能を亢進させてしまい、代謝が上がりますがエネルギー消費が激しい為、食欲も大きく向上してしまうので食べ過ぎて太ってしまう人もおられます。
実際に痩せない方の中にはこれらの疾患を患っておられる可能性が多々ありますので、正しいダイエットを行っても痩せない場合は医師に相談し検査することをお勧めします。
更に詳しく「痩せない病気」について知りたい方は下の記事をご参照下さい。
以上でダイエットしても痩せない原因「恒常性・体質と代謝・疾患」についての記述を終えさせて頂きます。
痩せない主な原因は身体に備わるセイフティの仕組みが働く事で痩せなかったり、または代謝に関する仕組みが「体質との相性・正常に働かない」ことです。
もしあなたのダイエットが行き詰まってしまったら一度自分の身体を分析してみてはいかがでしょうか🌸