肥満の大きな原因はエネルギー消費に関わる基礎代謝の低下が主な要因なのです。基礎代謝は10代後半から年齢を重ねるたびに低下していきます。基礎代謝を構成する体内機関の中でも代謝に必要なホルモンや補酵素などを生産する臓器関連での代謝が低下しますので、ダイエットを行う際は減りゆくホルモンや補酵素をサポートしながら減量すると効果的です。
この記事では太る原因と基礎代謝の関係性を「代謝概要・原因・予防改善」に分けて皆様にシェアさせていただきます。
目次
1.代謝とは
体温の維持や脳や心臓などの内臓の働き、生命活動をする為にエネルギーを使ったり生み出す事を代謝と言います。
代謝の働き
- 概要→代謝を簡単にご説明させていただきますと、外部から取り入れた物質(有機物・無機物)を体内で「利用・消費」(代謝)する事です。
- 同化→この代謝と呼ばれる化学反応には私たちの筋肉や血液、脂肪など身体を造る反応も含まれます。これを同化(物質合成)と言い、別名新陳代謝とも呼ばれています。
- 異化→食べるなど外部から体内に取り入れた物を分解(消化)・消費(燃焼)する反応を異化と言います。ダイエットに重要なこちらの代謝で基礎代謝もこちらに含まれます。
2.様々な代謝の種類
ダイエットに重要な異化には「基礎代謝・生活活動代謝・DIT(食事誘導性耐熱生産)」の3つ、同化には「身体の構築・エネルギーの蓄積」の2つがあります。
痩せる代謝(異化)
- 基礎代謝→エネルギーを使って呼吸や内臓機能、体温調節を行う事を基礎代謝と呼び、基礎代謝を構成している部位の割合が「脳20%・筋肉22%・肝臓21%・腎臓8%・心臓9%・脂肪4%・その他16%」です。
- DIT→食事による「消化・吸収」で消費されるエネルギーの事を言い、DITのエネルギー消化割合が「タンパク質30%・脂質4%・糖質6%」となります。これは面白いことにタンパク質を食べると一番カロリーを消費するという事です。
- 生活活動代謝→日常の行動や体を動かす事でエネルギーを使う事を言います。ダイエットで運動をして消費するエネルギーもこちらに含まれます。
太る代謝(同化)
- 新陳代謝→皮膚の生まれ変わりや新たに筋肉の構築など、新しく体を作る事を言います。体重が増えても筋肉が増える事は良い事です。
- エネルギー蓄積→主に脂肪の蓄積が体にとってエネルギーを貯蔵庫に蓄える事になります。つまり太る代謝というわけです。
以上が代謝の詳細なのですが、ダイエットの代謝として重要だと騒がれてる筋肉は数値的に見れば全体の20%程度です。
つまり筋肉以外の脳や肝臓などの臓器関連の方がエネルギーを使っている割合が多く、代謝量が多いということになります。
3.年齢と代謝の関係
年齢と共に代謝が下がるのは皆様ご存知かと思います。そこでどの年齢からどの代謝が下がってしまうのか解説します。重要なことは筋肉以外の臓器での代謝を見落とさないことです。
代謝の低下の真実
加齢と共に低下する基礎代謝の原因を筋肉(骨格筋)量の低下だと考えている方は多いと思います。確かに骨格筋が担う全体の代謝量の割合は約20%と大きいですが、基礎代謝を構成しているのは筋肉以外の臓器合計が55%と大きな割合を占めています。
年齢と基礎代謝量
まず下の画像をご覧ください。男女ともに大きく基礎代謝が低下している時期は18歳〜29歳の頃からです。その後50代からまた基礎代謝が低下しています。
筋肉量の低下
下記グラフは年齢に伴う筋肉量の推移です。筋肉量は30代前後まで増加しそこから緩やかに低下していき50代でさらに低下を早めます。
各グラフの各ポイントを比較すると、基礎代謝が低下している第1のポイントは「10代後半から20代後半」で第2のポイントが「50代」です。そして筋肉量低下のポイントは第1が「30代」で第2が「50代」です。
つまり一般的に言われている筋肉量の低下が代謝の低下というのは50代では当てはまるけど、太り始める20代後半では当てはまりません。太る原因となる代謝の低下は筋肉以外の「臓器」の代謝が低下していくからなのです。
4.代謝の低下と肥満
筋肉以外の基礎代謝の低下とは内臓や呼吸、体温調節機能などの生命活動をサポートする化学反応(生理活性)の低下が肥満の原因です。更に詳しく言うと生理活性に必要な補酵素やホルモンの生産量が低下することで生理活性事態が減ってしまうので代謝が低下してしまうのです。
代謝に必要な補酵素とは
- 代謝に必要な物
人が生きていく上で体内では様々な化学反応が行われています。その反応を起こす為に必要な物質やホルモンが補酵素と呼ばれるもので、その総称を代謝調節因子と呼びます。
- 補酵素「物質・ホルモン」
代表的な物質としては「Lカルニチン・コエンザイムQ10」があり、ホルモンでは「アディポネクチン・成長ホルモン・性ホルモン」などがあります。30代を目前にこれらの補酵素の生産量の低下が基礎代謝低下の大部分を占めています。
代謝に関わるホルモンの分泌低下
代謝に深く関わるホルモンには性ホルモン「女性ホルモン(エストロゲン)・男性ホルモン(テストステロン)」と成長ホルモンがあります。
どちらのホルモンも脂肪や糖の燃焼を促す働きがあり、肥満の防止に一役買っている大切な因子です。
性ホルモンの分泌低下
代謝に深く関わっているホルモンの一つに性ホルモンがあります。男性では「テストステロン」女性では「エストロゲン」が体形を維持・脂肪燃焼に働きかけています。
しかし加齢と共にテストステロンもエストロゲンも分泌が低下し、代謝が低下することで太りやすくなってしまうのです。
成長ホルモンの分泌低下
成長ホルモンは児童を生育する為に働くホルモンなので10代が分泌量のピークとなります。大人になっても成長ホルモンが分泌される理由は肥満を抑制する為に「糖代謝・脂質代謝」を促すために働いています。
代謝に深く関わる成長ホルモンは睡眠時に分泌されていますが、加齢と共に睡眠時間や質が低下することで、代謝を促す成長ホルモンの分泌も低下していくのです。
加齢による活性酸素の増加
活性酸素は加齢と共に体内に蓄積されていきます。活性酸素が身体に多く蓄積すると脂肪や糖を燃やしエネルギーを生産するミトコンドリアの活性が低下するので、アクティブに活動するミトコンドリア数が低下してしまいます。
活動しているミトコンドリアの数が減るという事は、脂肪を燃やせる場所が減ってしまうことになるので代謝が低下してしまうことに繋がるのです。
30代前後から太りやすくなるという基礎代謝の低下原因は主に代謝を促していた補酵素「物質・ホルモン」の生産量が低下することによって起こる臓器関係の代謝低下が原因なのです。
そして加齢と共に増加する活性酸素がミトコンドリアの活動数を減らしてしまうのでより代謝が低下してしまうのです。
活性酸素について詳しく知りたい方は下の記事をご参照下さい。
5.代謝の低下とダイエット
ダイエットしても痩せない人や痩せるスピードが遅い人は基礎代謝が低いからで、その場合は代謝をサポートしながらダイエットを行うのが効率の良い減量方法です。
代謝の低下とダイエットの向き合い方
- ダイエットに運動を取り入れる
ダイエットを始める方やダイエット中の方は自分の基礎代謝が低下している事を頭に入れ、低下している代謝を補う為に有酸素運動を取り入れると効率良く痩せる事ができます。
- 代謝に必要な補酵素を補う
ダイエット時の脂肪の燃焼に必要な補酵素は「αリポ酸・Lカルニチン・コエンザイムQ10」などが脂肪の燃焼に有効とされています。
- 代謝に必要なホルモンをサポートする
代謝低下の大きな要因であるホルモンの低下を補うには「睡眠の質を上げる」ことと「ホルモン様物質を摂取する」ことの2つの方法があります。特に女性ホルモンはイソフラボンと構造が似ています。
イソフラボンがもつ女性ホルモン様作用についてはこちらをご覧ください。
世の中の成功しているダイエット
確実に結果を出しているダイエットは「脂肪の分解作業=食事制限」+「脂肪の燃焼作業=運動or燃焼サプリ」=痩せるという公式が成り立っています。
代謝の低下要因をサポートしたうえで上記の法則が成り立つダイエットを行えば減量効果はかなり高いです。
そして痩せる為の作業としておすすめのダイエットは「糖質制限ダイエット」と「置き換えダイエット」の2種類です。
置き換えダイエットについてはこちらをご参照下さい。
糖質制限ダイエットについてはこちらをご参照下さい。
ダイエットは正しい食事制限で脂肪を分解し、代謝に必要な酵素やホルモンを補う事で代謝力をサポートし効率良く時短なダイエットができます。これが科学と研究が進んだ事で可能になった現代に相応しいダイエットです。
この記事では年齢重ねる事によって基礎代謝が低下し太りやすい体質になっていく仕組みを様々なデータから読み解き解説させて頂きました。
具体的な年齢のデータからダイエットされている皆様の体がどの状態にあるかという目安になると思いますし、痩せない原因や太る原因が分かる事でダイエットの方法も変わってきます。
食事制限によるダイエットを試みても「痩せない・痩せるのが遅い」と感じる人は一度基礎代謝を疑ってみて下さい。基礎代謝は、ご近所の薬局やクリニックなどで体組成計という機械で気軽に計る事ができますよ🌸