脳を持つすべての生物には地球の自転に伴う24時間周期で眠る為の仕組み(概日リズム)が備わっています。概日リズムが眠るための指令を出しホメオスタシス「自律神経・内分泌・免疫」が働く事で実際に眠り、睡眠中に心身の休息と回復が行われているのです。しかし眠る為の仕組みがあるにもかかわらず不眠の方が沢山おられる大きな理由は経済と文明の発展によって眠るスケジュールを作る体内時計や眠る為のホルモン分泌などの仕組みが狂い正確に機能しないからなのです。
この記事では不眠に関する「眠れない仕組み・健康に与える影響・自然な改善方法」について皆様にシェアさせて頂きます。
目次
- 脳を持つすべての生物には地球の自転に伴う24時間周期で眠る為の仕組み(概日リズム)が備わっています。概日リズムが眠るための指令を出しホメオスタシス「自律神経・内分泌・免疫」が働く事で実際に眠り、睡眠中に心身の休息と回復が行われているのです。しかし眠る為の仕組みがあるにもかかわらず不眠の方が沢山おられる大きな理由は経済と文明の発展によって眠るスケジュールを作る体内時計や眠る為のホルモン分泌などの仕組みが狂い正確に機能しないからなのです。
1.不眠に陥る仕組み
現代の社会や経済の目覚ましい発展は睡眠を犠牲にして働いて来た我々人類の歴史でもあります。つまり現代社会で睡眠障害(不眠)の人が増えているのは自己犠牲(ストレス)の果てに富を得て、科学や技術の発展により生活がより便利になることでリズムを司る体内時計が狂うという2つの要因で不眠を形成しているのです。
睡眠を構築する仕組み
私達の日々の睡眠は1日の睡眠スケジュールを決定する「概日リズム」による時刻依存性の睡眠と概日リズムによる指令の実現と不足分を補うための「睡眠の恒常性」という時刻非依存性の2種類の睡眠システムによりコントロールされています。
わかりやすく説明すると概日リズムが「未来の睡眠(今日の睡眠)」スケジュールを定め、恒常性(ホメオスタシス)が「過去の不足分を補う睡眠(昨日の睡眠)」をコントロールしているのです。
しかし現代社会ではこの2つの睡眠の仕組みが崩れやすい環境が整っているために睡眠不足や不眠症・睡眠負債といった睡眠障害が起こりやすいのです。
更に詳しく「睡眠の仕組み」について詳しく知りたい方は下の記事をご参照下さい。
不眠を構成する仕組み
正しい時間に眠れない、眠りが浅いといった「不眠」症状を作り出してしまう原因は1日の睡眠スケジュールを決定する「概日リズム」が狂ってしまうことと、睡眠不足を取り返す「睡眠の恒常性」が狂いお互いのシステムが正しく機能しないことが原因なのです。
概日リズムが乱れる
現代社会での私生活はテクノロジーの発展により「LED照明・パソコン・スマートフォン」などのブルーライトを発生させる機器と常に密接な関係にあります。
ブルーライトの光の強さは太陽光の強さと同等で身体は常に太陽の光を浴びていると認識します。
本来人間が眠りにつく仕組みとして起床後朝日(太陽光)を浴びる時間によって夜の就寝へのリズムをホルモン分泌によって整えるという概日リズムが働いてのですが、現代社会では電子機器の発展により日夜関係なく太陽光と同等のブルーライトを浴びています。
この常に太陽光にさらされている常に明るい環境が起床から就寝までのリズムを決定する概日リズムを狂わせてしまい、夜「眠気が起きない・寝つきが悪い」という睡眠障害を引き起こしているのです。
ホメオスタシス機構が乱れる
現代社会はストレス社会と言われています。現代人は子供から大人までそれぞれの生活環境下で常にストレスにさらされており、様々なストレスを受けることで眠るために必要な神経伝達やホルモン分泌機構が正常に働かなくなります。
現代人はテクノロジーの発展による概日リズムが狂い「未来の睡眠」が上手く取れない
環境下にいながら、睡眠不足を取り戻す為のホメオスタシス機構による睡眠もストレス環境下で正常に働かない状態にあります。
つまり現代社会の大きな不眠の原因は「概日リズムの狂い」と「ホメオスタシス機構の狂い」による未来の睡眠と過去を清算する為の睡眠のどちらも取り難い環境によるものなのです。
不眠の原因一覧
不眠を構築する原因のほとんどは1日の睡眠のリズムを作り出す「概日リズム」に影響を与えるものと、概日リズムによる睡眠をサポートするホメオスタシス機構に影響を与えるものの2種類です。
概日リズム(体内時計)に影響を与える物は「覚醒因子」であることが多く、ホメオスタシス機構に影響を与える物は「ストレス因子」であることがほとんどです。
概日リズムに関与する不眠原因
概日リズムは1日の睡眠スケジュールを決定するシステムで、スケジュールの決定に「太陽光・食事・運動」などの同調因子の刺激が関与しています。
特に覚醒を維持する因子「光・食べ物」に強く影響されるのでこれらの同調因子が不適格なタイミングに作用すると概日リズムによる体内時計が狂い睡眠スケジュールが狂ってしまいます。
- 覚醒作用:覚醒を促してしまう食べ物(成分)やシグナル(光)などの同調因子を不適切な時間(夜間)に刺激として受け取ってしまうと概日リズムに狂いが生じ睡眠に必要なメラトニンの分泌や深部体温の低下などが起きなくなる為、「夜眠れない・寝つきが悪い」という睡眠障害を引き起こしてしまうのです。
- 老化現象:人は年齢を重ね老いていくと徐々に眠りが浅くなります。例えば老人になると起床時刻が早まってしまったり、何度も夜目覚めてしまうことです。これは加齢によって体内時計に狂いが生じる為、概日リズムによる正確な睡眠プログラムが働かなくなるため起こる現象です。
ホメオスタシス機構に関与する不眠原因
ホメオスタシスは自律神経を通して「内分泌・免疫」をコントロールしています。
つまり自律神経が正確に働かなければ眠る為に必要なホルモン分泌を行う内分泌も正常に機能せず、眠れない為免疫も正常に働かないということになります。
すなわちホメオスタシスを正常に働かせるには自律神経が重要となりますが、自律神経に大きな影響を与えるのがストレスなのです。
-
精神的作用:恒常性(ホメオスタシス)に大きな影響を与えるものにストレスがあります。ストレスは体内で指令の伝達を行う自律神経の働きに影響を与えるえてしまいます。
つまり「ストレスによる自律神経不調→内分泌機能低下→ホルモン分泌低下」となってしまうの -
性ホルモン:人には雌雄を分ける性ホルモンが存在します。男性にはテストステロン、女性にはエストロゲンに代表されるホルモンがあり、ホルモンが豊富な時は体調も良いですが、加齢によりホルモン分泌が低下すると更年期症状が起こり体調悪化による身体へのストレスも増加します。
つまり「加齢による性ホルモン低下→更年期による身体へのストレス→内分泌低下」となってしまうのです。 -
体温調節:恒常性の維持という言葉の通りホメオスタシスは身体を健康な状態に保つ働きがあります。しかし普段から身体が冷えている「冷え性」の方はホメオスタシスの体温調節機能が正常では無いと言えます。
特に手足が冷える「末端冷え性」の方は深部体温が下げにくいので寝つきが悪いのです。つまり「冷えによる熱放出の悪化→深部体温が下がらず眠気が起きない」となってしまうのです。
時間に縛られる現代社会が不眠の連鎖を生む
現代社会には概日リズムを狂わせる「LED・パソコン・スマートフォン」から発せられるブルーライトに常にさらされており、1日の睡眠スケジュールが狂い、夜に正しく眠り難い環境です。
寝る時間が遅い場合には本来ホメオスタシス機構が働き睡眠時間がずれ込み足りない睡眠を回収しますが、現代社会では時間に縛られ決まった時間に起きなければなりません。
つまり常日頃時間に縛られているので概日リズムの狂いによる睡眠不足を回収することができず、日々睡眠不足に陥ってしまうケースが多いのです。
睡眠負債は現代病
上記のような現代社会の時代の流れによって不眠の連鎖に巻き込まれ、常に眠る時間が少なかったり、睡眠時間が安定せずバラバラという人は多いと思います。
この慢性的な睡眠不足が継続すると不思議と眠りたい時にすぐに寝られるようになります。これは睡眠不足が蓄積し過ぎて、本来睡眠中に行わなければならない「心身の休息・免疫による回復」が追い付いていない為、たまった仕事を片付けるために空いた時間は睡眠に回すという身体の救済システムなのです。
この状態を「睡眠負債」と呼び、健康を崩しやすく危険な状態で、アルツハイマー病やがんの発症リスクが高まると報告されています。
2.不眠が健康に与える影響
不眠による直接的な健康被害は本来睡眠時に増強される免疫力の低下と疲労蓄積による自然治癒力の低下です。社会的な影響で言えば疲労の蓄積による脳の働き(思考)の低下による生産性の低下となります。そして不眠の状態では身体を守ろうと働くため、食欲が旺盛になり間接的に肥満の大きな原因とも成り得るのです。
睡眠不足の直接的な健康被害
不眠になると本来寝ている時に身体を休めることができないことと、睡眠時に強く働く免疫作用の低下により身体は無防備な状態となり疲れやすく体調を崩すしやすくなります。
免疫力の低下
本来であれば睡眠中に日々の生命活動で傷付いた身体を細胞レベルで修復するために免疫力が増強されます。
しかし「眠れない・眠りが浅い」などの睡眠不足に陥ってしまうと免疫による回復の時間が取れないことになり、完全な修復ができなくなります。
自然治癒力の低下
睡眠不足によって免疫による回復の時間が減り、修復が不完全になったとしても日々の生命活動は継続しなければなりません。
つまり修復の遅れを活動中に行わなければならず、免疫機能が疲労し徐々に免疫力が低下してしまうので、慢性的に睡眠不足の方は体調を崩しやすいのです。
この睡眠不足による疲労の蓄積と免疫力の低下が「自然治癒力の低下」に繋がってしまうのです。
睡眠不足による間接的な肥満
ダイエットをしたい方や太っている方にも実は不眠の方や眠りが浅い方が多いのです。
不眠になってしまうと体力の低下・免疫力の低下・自然治癒力の低下を補おうと身体が働きかけます。
その働きとは「痩せる作用である代謝(エネルギー消費)を低下」させて「太る作用である食欲を増強しエネルギーを蓄える」という非常に太りやすい体内環境を作り上げてしまうので不眠は間接的ではありますが大きな肥満原因となってしまいます。
成長ホルモンの低下=代謝低下
成長ホルモンは寝ている間に分泌され、主に子供の発育を促すホルモンです。発育とは身体を作る事ですが、体内で肉体を作ることも同化というれっきとした代謝反応なのです。
大人になり身体の発育が止まっても成長ホルモンは寝ている間に分泌されていますが、この時の成長ホルモンは糖の代謝や脂肪の代謝に使われているのです。
つまり不眠になってしまうことで日々の「糖代謝・脂質代謝」の能力が下がってしまうのでエネルギー消費量が下がり太りやすくなってしまうのです。
食欲を増強するグレリンの増加
睡眠不足に陥る事で恒常性が働き身体を守る為にエネルギー源を蓄えようと働きかけます。
これがグレリンというホルモンの分泌による食欲の増加です。グレリンが分泌されると空腹感を感じやすくなり頻繁に食べ物を口に運ぼうとしてしまいます。
これは不眠により免疫や体力が低下している身体を守ろうとする防衛システムなのです。
3.自然な不眠の改善方法
不眠を改善するには現在の私生活その物を見直す必要があります。そして現在の生活の中で概日リズム(体内時計)を狂わせる原因とホメオスタシスを狂わせる原因を解決し私生活のリズムその物を改善することが自然に眠りにつくための自然なアプローチとなります。
概日リズムが狂い不眠になっている場合
概日リズムを狂わせて睡眠スケジュールその物を狂わせてしまうものが覚醒に関与する「光・食事・運動」などの同調因子です。
不眠の人の多くが睡眠に適切でないタイミングで同調因子の影響を受け続け常に覚醒を促してしまう生活環境に置かれていることが多いです。
逆に言えば覚醒を促す「光・食事・運動」などの同調因子を正しいタイミングで遮断することにより身体の仕組みを正すことができ自然に眠りにつくことができるということです。
光に関する覚醒を抑制
太陽の光である紫外線を浴びると人の身体は本格的に目覚めると同時に夜眠る為のスケジュールを概日リズムによって定めます。
つまり紫外線のような強い光には覚醒を促す作用と睡眠に必要なメラトニンの分泌をその場では抑え光の刺激から計算して分泌タイミングはかっているという事になります。
そして現代社会ではLED照明を始め、パソコンやスマートといったブルーライトを発生する電子機器と常に密接に生活しています。
このブルーライトが太陽光と似通った光と身体が判断するので四六時中身体は強い光=太陽光を浴びていると錯覚し概日リズムが正確に働かないことで夜間のメラトニン分泌に支障が出る為、夜眠れなかったり、なかなか寝付けない人が多いのです。
飲食に関する覚醒を抑制
覚醒を促す因子は太陽光やブルーライトとのような光だけではありません。
コーヒー、緑茶、エナジードリンク、チョコレートなどに含まれるカフェインやお酒に含まれるアルコールなども覚醒作用があるので概日リズムを狂わせる大きな要因なのです。
カフェインを代表とする覚醒物質を摂取すると交感神経が優勢の状態となりノルアドレナリンの分泌を促します。
アドレナリンは闘争心や興奮に深く関わるホルモンなのでノルアドレナリンが分泌されていると眠りにつくことが難しくなってしまうのです。
夜眠る前、もしくは夕方以降は食事や飲み物からは覚醒物質を摂らないように心がけましょう。
運動に関する覚醒を抑制
運動をすると筋肉の激しい稼動からエネルギーを消費し呼吸や心拍が激しくなります。
運動している時は交感神経が優勢になってしまいやはりノルアドレナリンが分泌されてしまいます。
つまり運動のタイミングを間違えてしまうと覚醒作用によって眠りにつくことが難しくなってしまうのです。
現代人は夜間にジムやランニングをする習慣が見受けられますのでなるべく運動は明るい時間帯にとどめておき良い疲労感だけを持ち帰り深い眠りに繋げましょう。
ホメオスタシスが狂い不眠になっている場合
眠る為のホルモン分泌その物を担うホメオスタシス機構を狂わせてしまう大きな原因がストレスです。
そしてストレスを受け続けている場合は最初に自律神経に影響が出て相関的に内分泌に影響が出ます。
次いで免疫にも影響が出てしまうという負の連鎖を引き起こし健康の要であるホメオスタシス(恒常性の維持)機能そのものがダウンしてしまうので長期間ストレスにさらされ不眠になっている場合は病院で医師に相談することをお勧めします。
ストレス原因の低減
仕事・学業・家庭など年齢別に様々なストレス環境に置かれるのが現代社会です。
今の時代を生きるのにストレスからはなかなか逃れられないのが現実だと思いますが、このストレスがホメオスタシスの司令塔である自律神経の働きに悪影響を与えてしまうのです。
ストレスの影響によって自律神経がダメージを受けると次いで、内分泌、免疫と健康の三本柱であるホメオスタシスの機能が低下してしまいます。
これは睡眠の恒常性(ホメオスタシス)にも言える事なのでストレスはホメオスタシス機構の睡眠プログラムにも影響を与えてしまいます。
ストレスを解消することが唯一の治療となるので、休日には好きな事を思いきり楽しんだり、個人個人がストレスを発散できる行動を取るのが大切なことです。
長期間ストレスを受けている場合
ストレスを受け続けると知らず知らずのうちにストレス耐性が付き心が無の状態になっている人がおられます。
その無の境地に達した状態では本人は平気だと思っていてもストレスの解消や発散ができていない以上身体にはストレスが蓄積しています。
つまり身体にストレスが蓄積し続けて徐々に寝つきが悪くなり、しまいに眠れなくなるという慢性的な睡眠障害に繋がってしまいます。
このような長期的なストレスによる慢性的な睡眠不足な場合は早急に医師に相談することをお勧め致します。
現代における睡眠不足・不眠症改善及び予防方法
現代では文明の発展と経済成長により概日リズム・睡眠の恒常性の双方に影響が起きている方がほとんどだと考えます。
睡眠は規則正しいリズムの構築と睡眠に必要なホルモンを分泌を正しく行うことで自然と眠れるようになるのです。
睡るのための睡眠スケジュールを正し自然に眠る方法
①朝規則正しく起きて、朝日を浴びる
②3食規則正しい時間に食事を摂る
③寝る前の運動は避ける
④寝る前のお酒は避け就寝3時間前までにする
⑤寝る前のカフェインは避け寝る3時間前までにする
⑥夜間のブルーライトなどの強い光はなるべく避ける
⑦夜間のスマートフォン・PCはナイトシフトモードにする
⑧夜間にスマートフォン・PCをさわる時PC眼鏡があると良い
⑨入浴は寝る30分~1時間前に入る
⑩眠れなくても焦らず何も考えないこと
⓫ストレスを貯めないように自分の方法で解消する
以上で不眠の「仕組み・影響・改善方法」に関する記述を終えさせて頂きます。
現代の不眠人口増加の背景には経済発展のために睡眠時間削り働いてきたことと文明の発展により生活の利便性が上がることで本来自然に眠りにつくために備わっているシステムが正常に動かなくなってしまうというものでした。
しかし睡眠を阻害している身近な物に気が付く事で自己改善の幅は広がりますので、この機会に是非、自然に眠る為の睡眠スケジュールを見直してみてはいかがでしょうか🌸