ダイエットに必要不可欠な脂肪燃焼には「エネルギーを生み出すための燃焼」と「熱を生産するための燃焼」の2つの燃焼経路があります。つまり脂肪燃焼の仕組みを理解する事が無駄のない減量を実現し、痩せないストレスや負担を軽減してダイエットを成功へ導いてくれます。
この記事では遊離脂肪酸を燃焼する「仕組み・方法・燃えない原因」の総合知識を皆様へシェアさせて頂きます。
目次
1.脂肪の燃焼とは
脂肪の燃焼とは、体内に貯め込んでいる脂肪を燃焼できる形の遊離脂肪酸に分解してから運動や代謝反応によって燃焼し「エネルギー(ATP)を作る」ことと「熱を生産する」ことです。脂肪を燃やして「ATP・熱」のを作る事で身体から脂肪は無くなるのです。
脂肪燃焼のサイクル
- 脂肪の分解
普段私たちが貯め込んでいる脂肪には中性脂肪が沢山詰まっています。この脂肪に蓄えている中性脂肪を燃やす為に、燃焼に適した形である遊離脂肪酸に分解する必要があります。伊右衛門特茶のCMで「脂肪は分解しないと減りません」と公言しているのはこのためです。 - 脂肪の燃焼①
分解してできた遊離脂肪酸は筋肉や肝臓でATPを作り出すエネルギー源として燃焼されます。これが「エネルギー生産時の脂肪を燃焼工程」で、一般的なダイエットによって体重を減らす(痩せる)仕組なのです。 - 脂肪の燃焼②
脂肪の燃焼経路はエネルギー生産だけではありません。人の身体には食べすぎによる肥満を防止する機能が備わっており、この機能が「熱の生産」なのです。この熱の生産の燃料には脂肪が使われるので脂肪の蓄積を防いでくれるのです。 - 燃焼の結果
遊離脂肪酸を燃焼する事で人間が生命活動を維持するために必要なATPと水と二酸化炭素を作りだします。ATPは体内で使われて無くなり水と二酸化炭素は体外へ排出されて脂肪は身体から消えるので体重が減ります。これがダイエットで行われている減量の仕組みです。
脂肪の分解について知りたい方は下の記事をご参照ください。
2.脂肪燃焼の仕組み
脂肪の燃焼行程は人の身体に無数に存在するミトコンドリアというエネルギーを生み出す細胞内で起こる化学反応です。つまり分解した遊離脂肪酸をミトコンドリアに運び燃焼する事で脂肪は減ってゆくのです。
ミトコンドリア内で起こる燃焼反応
- β酸化→遊離脂肪酸はミトコンドリアへ運ばれてその内部で「β酸化」という燃焼反応をかいして燃やされます。β酸化を解りやすく言うと「脂肪を燃やしてエネルギーを作る火力発電所のようなもの」です。
- UCP1→ミトコンドリアではβ酸化以外に遊離脂肪酸を燃料にして体温を上げる燃焼反応も存在します。そのためにミトコンドリア内ではUCP1という新たな燃焼機関を出現さえてどんどん脂肪を燃やします。解りやすく言うと「UCP1は温度を上げるヒーターのようなもの」です。
3.ダイエットの脂肪燃焼はミトコンドリアの活性化
ダイエットで脂肪を燃焼して痩せるとは主に「β酸化」を起こすという事です。そのβ酸化を起こすには遊離脂肪酸を「ミトコンドリアに運び燃やす」という工程を行う必要です。そして熱生産による脂肪燃焼にもミトコンドリアが関わっています。
β酸化のサイクル
- ミトコンドリア内へ運ぶ
遊離脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶためにはLカルニチンが必要です。Lカルニチンは20代から減少します。つまり「Lカルニチンが減ることで脂肪の燃焼力が低下し代謝が下がる」とも言えるのです。
- 燃焼のスイッチを押す
β酸化を開始するにはミトコンドリアの活性を上げてくれるAMPKというエネルギー量を監視している司令塔を刺激する必要があります。この「AMPKを刺激し活性化する事がβ酸化=脂肪燃焼を起こす鍵」なのです。
- β酸化を開始する
上記の刺激によって活性化されたAMPKにより活性化したミトコンドリアは遊離脂肪酸を燃料にしてβ酸化を始めます。こうして脂肪は燃焼されていくのです。
- β酸化を完了する
β酸化で脂肪を燃焼する工程の中に「呼吸」という燃焼過程が存在します。実は呼吸反応を起こす為にコエンザイムQ10が必ず必要となり、この「呼吸反応を終了させることでやっとβ酸化は完了」されます。
脂肪燃焼のキモ「β酸化」の重要なポイント
①Lカルニチンによって遊離脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ
②AMPKを活性化させる
③β酸化が開始される
④コエンザイムQ10によって呼吸反応を終えβ酸化は完了する
「この①~④の工程を終えると脂肪が減り痩せる」という事になるのですが、ここで一番大事なポイントはβ酸化を起こす指示を出すAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を活性化させる事です。
熱生産による脂肪燃焼サイクル
- 褐色脂肪細胞
脂肪細胞には褐色脂肪細胞という熱生産に特化した脂肪細胞が存在します。褐色脂肪細胞にはミトコンドリアが存在するので褐色に見え、その燃焼力は筋肉でのエネルギー消費の70倍~100倍の燃焼力があります。 - ベージュ細胞
褐色脂肪細胞は年齢とともに減少しますが、通常私達が脂肪と呼んでいる白色脂肪細胞がベージュ細胞と呼ばれる褐色脂肪細胞に近い働きをする物に変性することで熱生産を行います。 - 活性化の仕組み
褐色脂肪細胞・ベージュ細胞ともにアドレナリンが分泌することで活性化します。アドレナリンの刺激を受けることで各脂肪細胞内に存在するミトコンドリアに熱生産を行うUCP1という期間が出現し熱生産を行います。
褐色脂肪細胞やベージュ細胞について詳しく知りたい方は下の記事をご参照下さい。
4.β酸化を効率良く起こすには
ダイエットで脂肪を燃やして痩せるにはAMPKを活性化させる事が一番重要です。脂肪燃焼のポイントを絞ると「①Lカルニチンで運ぶ②AMPKを活性化する③コエンザイムQ10で完了する」となり、この痩せる3つの工程を始める為に痩せる仕組みの引き金を引くのがAMPKとなります。
サプリで有名な燃焼に必要な成分
- Lカルニチン→脂肪をを燃焼する為にはミトコンドリアへ遊離脂肪酸を運ぶために必ずLカルニチンが必要になります。
- コエンザイムQ10→コエンザイムQ10は脂肪燃焼反応のβ酸化中で「呼吸反応」を起こして燃焼を完了させる為に必要な成分です。
燃焼の要「AMPK」を活性化する方法
- 運動→運動による激しい刺激によって体が低グルコース状態や低酸素状態になるとAMPKは活性化します。つまり運動をすると痩せるのはAMPKが活性化されるからなんです。
- 成分→運動以外でもAMPKを特異的に活性化できる成分も存在します。その成分は「αリポ酸・ベルベリン」で漢方では「冬虫夏草・黄芩(オウゴン)」が各研究論文で確認されています。
- ホルモン→AMPKは脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというホルモンによっても無条件に活性化されます。運動しなくてもアディポネクチンは「近年の東京大学の研究で痩せるホルモン」として注目を浴びています。ただアディポネクチンは体内で増やす必要があり直接アディポネクチン摂取する事はできません。アディポネクチンを増やせる成分はいくつかあるのですが「ノエビア化粧品の研究論文では冬虫夏草が一番多くアディポネクチンを増やした」という報告があります。
5.燃焼に有効なサプリを飲んでも痩せない場合
既にLカルニチンやコエンザイムQ10を飲んでいるのに痩せないという人はこの3つの要因「①脂肪の分解ができていない②AMPKが活性化されていない③ミトコンドリアのコンディションが悪い」が考えられます。
脂肪が燃焼されず痩せない理由
①脂肪の分解
脂肪を燃焼して痩せる為には、まず脂肪を分解しなければなりません。分解して遊離脂肪酸を体内にストックする事からダイエットは始まります。意外と脂肪の分解でつまづいている人が多いのです。
②AMPKの活性化
脂肪の分解は完璧なのに痩せないという人はAMPKが活性化しておらずβ酸化が行われていない可能性があります。脂肪の燃焼=β酸化なのでAMPKを活性化するために「運動」もしくは「活性化する成分」の摂取を行ってみて下さい。
③活性酸素
上記の①②を行っても痩せない人は確かにおられます。痩せない人の大抵の理由が活性酸素(フリーラジカル)の蓄積によって実働できるミトコンドリアが少ない状態が挙げられます。「稼動している脂肪燃焼工場の数が少なければ痩せないのは当然」なので一度活性酸素を疑ってみて下さい。
今回の記事では「脂肪の燃焼」だけをブラッシュアップして記事にしてみました。
こうして記事にするとかなり複雑ではありますが、要するに「脂肪の燃焼を始める為にAMPKを活性化することが何よりも大事」なんです。
そしてAMPKを活性化するために「運動するか特異的に活性化してくれる成分を飲んで常に脂肪燃焼のスイッチを入れる」と脂肪燃焼の効率が良くなり、早く痩せることで気持ち良くダイエットができます。
AMPKを活性化してくれるアディポネクチンを増やすには、上記で説明した冬虫夏草以外に大阪大学ではDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)を摂取するとアディポネクチンが増えたという実験報告があります。EPA・DHAには脂肪を強力に燃やすベージュ細胞を増やす事も京都大学の研究で解っているので「日々の健康投資としてクリルオイルなどのオメガ3脂肪酸を飲むのことは健康にもダイエットにも良い習慣」となりますよ。
ダイエットは科学です。そして科学で解らない事はありません。理解して実践すれば予定調和の楽しいダイエットがきっとあなたを待っていますよ🌸